PPO材質の特性・用途

プリント基板を製造する上で使用される樹脂には、エポキシ樹脂やフェノール樹脂などの種類がありますが、その中のひとつがPPO(Polyphenylene Oxide)樹脂です。ガラス繊維で編んだガラス布に対して、PPO樹脂を含浸させて製造したプリント基板のことをガラスPPO基板と言います。

ガラスPPO基板は、高い周波特性を有していることが特徴です。高周波特性が高いプリント基板としては、ガラス布にフッ素樹脂を含浸させた材質で製造されるテフロン基板(フッ素基板)が存在します。フッ素樹脂は空気に次いで比誘電率が低い材質であり、誘電正接も低いため、フッ素樹脂が使用されているテフロン基板は高周波特性が求められる場合に多く使用されています。しかし、フッ素樹脂は費用が高いことに加えて、加工性も悪くスルーホールメッキに特殊な薬品を使用する必要があるため、製造にコストがかかることがデメリットです。ガラスPPO基板はテフロン基板よりも高周波特性は劣るものの、安価であることがメリットです。また、加工性にも優れており、ガラスエポキシ基板と同じように加工可能であることもメリットのひとつでしょう。さらに、耐熱性も高いことも特徴で、材質の耐熱性を示すTg(ガラス転移点)は210℃となっています。

ガラスPPO基板の用途としては、高周波特性が求められる機器に使用されるのが一般的です。近年は、通信速度の高速化に伴って、高い帯域の周波数を用いられる通信機器が増えており、高周波損失が低いプリント基板を使用して、伝送損失を最小限に留める必要性が高まっています。高周波特性を有するプリント基板が求められる機器としては、携帯電話やWi-Fiなどの通信機器だけでなく、テレビやラジオなどの放送機器、GPS測定器、アンテナ、レーダーなどが挙げられます。また、航空宇宙や衛星通信は、高周波特性を有するプリント基板への需要が特に高い分野です。

ガラスPPO基板は、前述したような機器に適したプリント基板ですが、近年は半導体の性能向上に伴って、ガラスエポキシ基板でも十分に高周波数特性を備えるようになっています。また、ガラスPPO基板はテフロン基板同様に大量生産する製品には不向きであり、汎用性に乏しいことが欠点です。そのため、ガラスPPO基板やテフロン基板の使用用途としては、大量生産が必要な民生品に用いられることは少なくなっており、限られた分野でのみ使用されるプリント基板となっています。