PET材質の特性・用途

電子機器に欠かせないプリント基板は、製造時に使用する材質によってリジッド基板とフレキシブル基板に分けることができます。リジッド基板は、硬い絶縁体で製造された基板のことで、ある程度の厚みがあるため折り曲げることはできません。一方、フレキシブル基板は、柔軟性のある薄い材質で製造された基板のことを指し、折り曲げて使用することが可能です。リジッド基板とフレキシブル基板に使用される材質には、さまざまな種類が存在しており、使用する材質に応じてプリント基板の性能は変化します。

フレキシブル基板は、基材となるベースフィルムの上に、エポキシ樹脂などで接着層を形成し、さらにその上に導体となる銅を銅箔を張り合わせたプリント基板です。ベースフィルムの材質としては、ポリイミドが使用されることが多いのですが、PET(ポリエチレンテレフタレート)を使用したフレキシブル基板も存在します。PETはペットボトルに使用される馴染み深いプラスチックですが、PETは汎用性が高い素材であるため幅広い用途に利用されており、プリント基板などの電子機器にも多く使用されています。

PETを使用したフレキシブル基板は、コストパフォーマンスが高いことが最大の特徴です。ポリイミドと比べると1/100程度と非常に低コストで製造可能であるため、価格を抑えたい民生品に適しています。しかし、耐熱性が悪いという特性があるため、高温環境になりやすい大電力伝送回路などへの使用には適さず、利用する際は注意が必要です。また、一般的なハンダ付けができず、低温ハンダによって実装しなければいけません。ただし、一般的な電子機器で発生する熱には十分に耐えられるため、様々な用途に使用可能です。さらに、GHz帯の誘電正接はポリイミドと比べると多少劣ることもデメリットのひとつでしょう。

また、ポリイミドはガスバリア性が低く、酸素や水分を通しやすいというデメリットがありますが、PETはガスバリア性が高いという特性があります。そのため、ベースフィルムにPETを使用したフレキシブル基板は、空気中の酸素や水分を遮断する必要となる電子機器への使用に最適です。例えば、液晶ディスプレイは薄型化が求められる機器であるため、フレキシブル基板が多く使用されていますが、空気中の酸素や水分は液晶ディスプレイを劣化させる原因となります。したがって、空気中の酸素や水分を遮断しやすいPETを使用したフレキシブル基板は、液晶ディスプレイに適しているのです。