紙フェノール材質の特性・用途

洗濯機

プリント基板に使用される材質として、最も古くから使用されているのが紙フェノール材質です。紙フェノール基板は、絶縁体の紙基材に対して油脂を含んだフェノール樹脂を含浸させることで製造されます。世界的に見ると、プリント基板の材質として最も多く使用されている材質で、基本的に黄色や褐色であることが多く、独特な香りがするのが特徴です。ちなみに、紙フェノール基板はベークやベーク基盤、ベークライトなどと呼ばれることもあります。

紙フェノール基板は、低コストであることが最大のメリットで、加工も容易という特徴もあります。一方で、機械的特性や物理的特性が低く、湿気にも弱い材質であるため、パターン割れが生じやすく、反りやすいことがデメリットです。そのため、紙フェノール基板は集積回路のような細かなパターン設計には適しません。また、難燃性が低いこともデメリットのひとつで、NEMA協会(アメリカ電機工業会)によって規定されるFRグレードにおいて最も低いFR-1に位置付けられています。さらに、ガラスエポキシ基板と比べると、高周波特性や伝導率などの電気的特性も悪いというデメリットもあります。しかし、紙フェノール基板は低コストであることに加えて、切断や穴あけなどの加工に特殊な工具を必要とせず、カッターなどでも簡単に加工することが可能です。そのため、個人ユーザーが電子工作を行ったり、自作基板を製作したりする際に重宝されています。

また、両面基板を作成することも可能ですが、片面基板に使用されるのが一般的です。コスト面に優れており、大量生産も容易なので、洗濯機や冷蔵庫などの白物家電や家庭用電話機、ゲーム機、キーボードなど幅広い用途に使われています。なお、紙フェノール基板はメッキには不向きであるため、スルーホールは形成はできません。しかし、プレスで穴を空けて、銀ペーストを穴に充填することでスルーホールを形成する銀スルーホール基板に使用されています。銀スルーホール基板は、テレビやエアコンなどのリモコンやオーディオといった用途に使用されています。

このように、紙フェノール基板は低コストであり、加工がしやすいというメリットがあるプリント基板です。そのため、個人ユーザーによる電子工作や自作基板製作の際に多く使用されています。また、紙フェノール基板は高温などの過酷な環境下での使用には適しませんが、コストダウンを実現するために、多くの民生品に使用されています。